温室効果ガス排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」※1を目指す潮流が世界中に広まっている。2021年1月現在、2050年のカーボンニュートラルに賛同している国は、124カ国・1地域にのぼる。日本でも、2020年10月、菅総理が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。政府のこうした動きを受けて、日本の民間企業にもカーボンニュートラル社会に向けた対応が求められている。
民間企業がカーボンニュートラル社会に向けた対応をする際、自社事業のCO2削減対策を実施するのみでは不十分である。なぜならば、あらゆるステークホルダーがカーボンニュートラルを目指す社会になれば、自社事業の範囲のみならず、原材料の調達段階や販売した製品の使用段階など、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められるようになるからだ。例えば、炭素税の導入により原材料の調達コストが増加するリスクや、製品の環境配慮性能によって需要が増減するリスク・機会などが発生することが想定される。
また、海外で事業を展開する企業は、海外の動向を踏まえたリスク・機会の把握も必要だ。例えば、2021年7月、欧州委員会は、欧州より多い炭素排出量で製造された輸入品に対して国境炭素税を課す「国境炭素調整措置案」を発表した。現時点の対象は、特にカーボンリーケージ※2のリスクの高い品目(鉄鋼製品、セメントなど)に限定されているが、今後対象が拡大すれば、欧州市場向けに輸出を行っている産業・企業の負担が増大する可能性がある。
民間企業がカーボンニュートラル社会に向けた対応をする際、自社事業のCO2削減対策を実施するのみでは不十分である。なぜならば、あらゆるステークホルダーがカーボンニュートラルを目指す社会になれば、自社事業の範囲のみならず、原材料の調達段階や販売した製品の使用段階など、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められるようになるからだ。例えば、炭素税の導入により原材料の調達コストが増加するリスクや、製品の環境配慮性能によって需要が増減するリスク・機会などが発生することが想定される。
また、海外で事業を展開する企業は、海外の動向を踏まえたリスク・機会の把握も必要だ。例えば、2021年7月、欧州委員会は、欧州より多い炭素排出量で製造された輸入品に対して国境炭素税を課す「国境炭素調整措置案」を発表した。現時点の対象は、特にカーボンリーケージ※2のリスクの高い品目(鉄鋼製品、セメントなど)に限定されているが、今後対象が拡大すれば、欧州市場向けに輸出を行っている産業・企業の負担が増大する可能性がある。