コロナ禍によりわれわれの生活は大きな影響を受けていますが、わずかにポジティブな影響があるとすれば、多くの業種でテレワークなど、就業のオンライン化が進んだことが挙げられるでしょう。実際、国土交通省によれば、「全就業者(雇用型、自営型)のテレワーカーの割合は22.5%で、前年度から約7ポイント増加し、過去5年間で最高値を記録」しています※1。
テレワークが広がるにつれ、その課題も明らかになってきました。特に「オンラインコミュニケーションでは十分なチームワークの醸成ができない」、「初見の相手との十分な意思疎通ができない」などの課題が指摘され、対面コミュニケーションの重要性が改めて認識されています。
対面コミュニケーションと現状のオンラインコミュニケーションの違いは、非言語情報(情動・感情・場の空気感など)の伝達能力にあります。非言語情報には、実際の肉体的接触(握手、ハグなど)といった触覚によるものや、匂いや温度・湿度などによるものもありますが、ビジネスシーンでは、表情や顔色、視線、あるいは相手との相対的位置関係や意図しない身体的な振る舞い、会話のトーン・ニュアンスなどが非言語的情報として重要になります。
私たちは、言語的なやり取りに加え非言語的な情報もやり取りをすることで、相手の意図の理解や信頼関係の醸成を行っている、と考えられています。ビジネスシーンで必要となる非言語的な情報は、現在の技術でもかなりの部分をデジタルメディア化することが可能です。この非言語的情報を言語的情報に重ね合わせることで、より豊かなオンラインコミュニケーションが実現できると考えられます。
2030年代のコミュニケーション革命(CX)※2は非言語情報のデジタルメディア化を通じ、「強化」と「拡張」の方向に進むと予想されます。「強化」は、人と人とのコミュニケーションにおいて、非言語情報のオンライン化やデジタルツールを介した見える化により、遠隔の人との対面に近いコミュニケーションができるようになること、および、遠隔/対面を問わず、対面を超えるコミュニケーション(例えば相手の真意や感情の見える化、同時通訳、適切な語彙(ごい)候補のリコメンドなど)ができるようになることを意味します。
「拡張」は、話し言葉や身ぶり手ぶりなどを含めた、誰もが馴染(なじ)んでいる自然なコミュニケーションスタイルで、機械(AI)や環境と言語的/非言語的に情報をやり取りできるようになることを意味します。例えば、手招きをするとゴミ回収ロボットが近くに寄ってくるとか、「“あれ”もってきて!」などの曖昧な発言であってもAIが文意を解釈して適切な応答をするといったイメージです。
2030年代にかけて普及が期待されるCXの方向を以下にまとめます(表1)。
テレワークが広がるにつれ、その課題も明らかになってきました。特に「オンラインコミュニケーションでは十分なチームワークの醸成ができない」、「初見の相手との十分な意思疎通ができない」などの課題が指摘され、対面コミュニケーションの重要性が改めて認識されています。
対面コミュニケーションと現状のオンラインコミュニケーションの違いは、非言語情報(情動・感情・場の空気感など)の伝達能力にあります。非言語情報には、実際の肉体的接触(握手、ハグなど)といった触覚によるものや、匂いや温度・湿度などによるものもありますが、ビジネスシーンでは、表情や顔色、視線、あるいは相手との相対的位置関係や意図しない身体的な振る舞い、会話のトーン・ニュアンスなどが非言語的情報として重要になります。
私たちは、言語的なやり取りに加え非言語的な情報もやり取りをすることで、相手の意図の理解や信頼関係の醸成を行っている、と考えられています。ビジネスシーンで必要となる非言語的な情報は、現在の技術でもかなりの部分をデジタルメディア化することが可能です。この非言語的情報を言語的情報に重ね合わせることで、より豊かなオンラインコミュニケーションが実現できると考えられます。
2030年代のコミュニケーション革命(CX)※2は非言語情報のデジタルメディア化を通じ、「強化」と「拡張」の方向に進むと予想されます。「強化」は、人と人とのコミュニケーションにおいて、非言語情報のオンライン化やデジタルツールを介した見える化により、遠隔の人との対面に近いコミュニケーションができるようになること、および、遠隔/対面を問わず、対面を超えるコミュニケーション(例えば相手の真意や感情の見える化、同時通訳、適切な語彙(ごい)候補のリコメンドなど)ができるようになることを意味します。
「拡張」は、話し言葉や身ぶり手ぶりなどを含めた、誰もが馴染(なじ)んでいる自然なコミュニケーションスタイルで、機械(AI)や環境と言語的/非言語的に情報をやり取りできるようになることを意味します。例えば、手招きをするとゴミ回収ロボットが近くに寄ってくるとか、「“あれ”もってきて!」などの曖昧な発言であってもAIが文意を解釈して適切な応答をするといったイメージです。
2030年代にかけて普及が期待されるCXの方向を以下にまとめます(表1)。
表1 2030年代にかけて普及が期待されるCXの方向
コミュニケーションの強化・拡張により、人と人とのコミュニケーションが多様化・円滑化することに加え、誰もが慣れ親しんでいる対人コミュニケーションと同じ方法で、機械(AI)や環境と情報をやり取りすることが可能になります。この変革により、リアル・デジタルが融合する社会のもつ利便性を、ITリテラシーのあるなしにかかわらず、誰もが享受できるようになると期待されます。