「FLAG」という言葉をご存じだろうか。Forest, Land and Agricultureの略、つまり、森林、土地および農業分野のことを指す。今、このFLAGセクター由来の温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けて、科学的根拠に基づく目標設定や評価枠組みの整備が急速に進み、企業の対応が急務となりつつある。その背景と、今後企業が取り組むべきFLAG排出量削減に向けた第一歩について考える。
※1:The Science Based Targets initiativeの略。国際NGO(CDP、WRI、Global Compact、WWF)が運営する、パリ協定の目標達成を目指した削減シナリオと整合した目標の設定、実行を求める国際的なイニシアティブ。
※2:米国の環境シンクタンクWRI(World Resources Institute:世界資源研究所)とWEBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)が主導して開発した、温室効果ガス排出量算定・報告の国際的な基準。
※3:目標設定済の企業および2年以内に目標設定を行うことを約束している企業の合計。SBTi公式ウェブサイトにて確認。
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※4:2000年に英国で設立された国際的な環境NGO。機関投資家や顧客企業の要請に基づき企業や自治体に環境対応に関する質問書を送付し、環境情報開示を促している。2023年には、全世界の時価総額の3分の2を超える約23,000社(日本企業約2,000社を含む)がCDPを通じた環境情報開示に協力。日本からは、三井住友、みずほ、三菱UFJなど主要な金融機関が各企業の評価結果を活用している。
※5:大気中の炭素を土壌や作物に取り込んでGHG排出量削減を目指す農法。
※6:リジェネラティブ農業、環境再生型農業などとも呼ばれる。土壌やその生態系を回復・改善していく農法で、土壌中の炭素量も増加する。