これまで投資に関するアドバイザリーサービスは、プロのファイナンシャルアドバイザーによる対面型のサービスが主流でした。このため、投資未経験者にはハードルが高くなっていました。しかし、ソーシャルトレーディングサービスの普及によって、投資未経験者もより身近に投資を感じる事ができ、投資家の裾野が拡大する可能性があります。個人投資家は、従来型の対面サービスに加え、前号で紹介した「ロボアドバイザー」サービスや、SNS感覚でまずは試してみる「ソーシャルトレーディング」を、目的に応じて使い分けるようになるでしょう。
一方で、ソーシャルトレーディングの拡大に向けて最も大きな課題となるのは、先進国を中心とした法規制の問題です。
国内では、金融商品取引法において、投資方法のアドバイスをするための資格として投資助言・代理業が定められています。このため、ソーシャルトレーディングのように、他人に取引情報を公開してコピートレードを促す事で報酬を得ることは同法に抵触する可能性があります。また、このような取引の規模が大きくなれば、同法で禁止されている相場操縦にも該当する可能性があります。
海外にも同様の規制は存在します。また、欧州各国でFX取引での空売り規制が強化されるなど、全般的にソーシャルトレーディングの主要取引の場であるFX市場に対する規制は強化される傾向にあります。
これらの国内外の法規制の高い壁により、ソーシャルトレーディングの拡大は限定的な範囲に留まっており、サービスの認知度を含め、投資未経験者が気軽に利用できる状況にはまだまだ遠いというのが実情です。今後、法規制等の課題を解決した上で、既存のSNSと連携し、より簡単に投資情報の共有ができるようになれば、個人投資家の裾野を拡げ、サービス利用者数が大きく拡大する可能性がありそうです。
※1:https://www.etoro.com/en/about/
※2:http://www.zulutradejapan.com/zulutrade.html
本コラムは、フィデリティ投信株式会社と当社が共同作成し、「フィデリティDCニュースレター」に連載されたものです。
執筆者
先進データ経営事業本部
篠田徹、
木田幹久、山野高将、
本田えり子、
高橋淳一、
鵜戸口志郎