データ活用の目的は、従来人間の暗黙知や感覚で進めてきたビジネスの課題解決を、データを用いて再現・検証し、より高度に実行しようとするものである。
日本企業の多くでデジタル化・DXは発展途上であり、「データ活用」も同様である。第1回コラムでも触れたように社内のデータ活用は浸透しつつあるものの、社外などの外部データ活用は目的設定に苦慮する企業が多い。
しかしながら、外部データの活用は自社が持ちえない観点で質の高い課題解決につながる可能性があり、取り組む意義は高い。そこで、本コラムでは第2回に続いて外部データに焦点を当て、その中でも活用のハードルが低い集計データの概要とその新たな動きを紹介する。
データは、その所在(外部/内部)とデータ形式(個票/集計)によって4つに大別される(図1)。第2回で取り上げた個票データは、個人の行動履歴などを分析することで詳細な顧客理解や事象理解につなげることが可能である。ただし、個票データは個人情報保護の観点から活用のハードルが高い上、相応のデータハンドリング技術や環境(格納領域など)が必要となる。他方、今回取り上げる集計データは、データを属性や購買額など一定の単位で集約したデータであり、社会や地域、産業といった、確認したい対象の全体動向を定量的に把握することができる。
日本企業の多くでデジタル化・DXは発展途上であり、「データ活用」も同様である。第1回コラムでも触れたように社内のデータ活用は浸透しつつあるものの、社外などの外部データ活用は目的設定に苦慮する企業が多い。
しかしながら、外部データの活用は自社が持ちえない観点で質の高い課題解決につながる可能性があり、取り組む意義は高い。そこで、本コラムでは第2回に続いて外部データに焦点を当て、その中でも活用のハードルが低い集計データの概要とその新たな動きを紹介する。
データは、その所在(外部/内部)とデータ形式(個票/集計)によって4つに大別される(図1)。第2回で取り上げた個票データは、個人の行動履歴などを分析することで詳細な顧客理解や事象理解につなげることが可能である。ただし、個票データは個人情報保護の観点から活用のハードルが高い上、相応のデータハンドリング技術や環境(格納領域など)が必要となる。他方、今回取り上げる集計データは、データを属性や購買額など一定の単位で集約したデータであり、社会や地域、産業といった、確認したい対象の全体動向を定量的に把握することができる。
図1 データの分類と代表例
最も身近な外部の集計データは政府統計データだろう。統計局のホームページ※1では、図2のように17の分野について、基幹統計(公的統計の根幹をなす重要性の高い統計)を含む約700の統計調査が公開されている。また、政府統計を加工・編集し、データ分析に詳しくない人でも活用可能にした地域経済分析システム「RESAS」※2のような取り組みもある。例えば、ある特定の地域におけるクレジットカードの取引単価データを取得し、エリアマーケティングに活用するといった使い方が可能である。
図2 政府統計の概要
アンケートデータも集計データの1つである。アンケートは定性データを集めることもできるが、主として「Yes/No」のような選択肢で定量データを集める手段として用いられる。アンケートデータは、課題の把握や仮説検証、実態調査や効果測定など、さまざまなシーンで利用される。なお、アンケートデータの利用パターンには①他者が実施したアンケート結果の利用、②調査会社のパネルを活用した独自調査、③完全に自社で実施する独自調査、の3通りがあり、①が外部の集計データに該当する。
政府統計やアンケートのような従来型の集計データは、特定の目的に対して緻密に設計されているため、目的に合えば非常に有用な情報となる。一方で調査・集計に時間や手間を要するため、特に政府統計では結果の即時性に限界があるほか、定点観測の中で短いスパンで頻繁にデータを取得することが現実的に難しいなどの課題もある。
政府統計やアンケートのような従来型の集計データは、特定の目的に対して緻密に設計されているため、目的に合えば非常に有用な情報となる。一方で調査・集計に時間や手間を要するため、特に政府統計では結果の即時性に限界があるほか、定点観測の中で短いスパンで頻繁にデータを取得することが現実的に難しいなどの課題もある。