三菱総合研究所が提唱するコーポレートガバナンス・トランスフォーメーション(CGX)とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するため、コーポレートガバナンスを高度化して、業務、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、ステークホルダーの要求に応え、企業の成長性を高めることである。
第3回では、日本企業のリスクマネジメントの体制・仕組みを中心に、顕在化している課題と、その対応策について提案した。いくら体制・仕組みを整備したとはいえ、従来のルールベースでは対処しにくいリスクや、ESGなど新たな社会的要請への対応には、原則に従いつつも個別に判断する、柔軟な構造の確立が求められる。今回は、このように柔軟な構造をもつガバナンス体制をボトムアップ的に実現するのに不可欠な経営理念もしくは、近年注目されているパーパスの組織浸透の重要性について述べる。ポイントは以下の4点である。
第3回では、日本企業のリスクマネジメントの体制・仕組みを中心に、顕在化している課題と、その対応策について提案した。いくら体制・仕組みを整備したとはいえ、従来のルールベースでは対処しにくいリスクや、ESGなど新たな社会的要請への対応には、原則に従いつつも個別に判断する、柔軟な構造の確立が求められる。今回は、このように柔軟な構造をもつガバナンス体制をボトムアップ的に実現するのに不可欠な経営理念もしくは、近年注目されているパーパスの組織浸透の重要性について述べる。ポイントは以下の4点である。
- 組織に対する社員の理解や共感が不十分であると、ガバナンスの仕組みは自律的に機能しない。
- 経営理念を介して組織の方針に共感をもつことで、社員は経営方針や組織運営などを自分事として考えられる。
- 経営理念の浸透は、心理的安全性の確立にも不可欠。
- 経営理念浸透のためには、「社員参加プロセス」「あるべき姿の共有認識醸成」「個別ポリシーなどとの整合性確保」の3点が重要である。