マンスリーレビュー

2021年7月号

MRIマンスリーレビュー2021年7月号

日本の社会課題を解決するDX—公共・金融行政編

執行役員 伊藤 芳彦
デジタル革新は、電子決済やECを普及させ、Uber、Airbnbのようなディスラプターを誕生させた。スマホやSNSなどデジタルツールによって生活様式が変わり、AIやIoTはビジネスモデルを進化させている。

その影響は旧来の業務のシステム化(デジタイゼーション)やプロセスの電子化(デジタライゼーション)とは異なる。デジタル革新により社会、ビジネス、経済が変革するDXの流れは今後も加速していくであろう。

一方で、コロナ禍は、モノづくり大国であった日本がデジタル後進国となった現状を浮き彫りにした。国際経営開発研究所(IMD)の調査では、2020年の日本の国際デジタル競争力は、対象63カ国・地域中27位、アジア太平洋圏14カ国・地域中9位である。特にデジタル活用に係るビジネスの俊敏性や、人財、規制面の劣後が顕著である。背景として、旧来のICT投資がインフラや既存システムの維持・改修(守り)に偏り、変革への対応(攻め)が後手になってきた感は否めない。

これは日本が突き付けられた大きな社会課題である。技術だけの問題ではなく、経営、教育、行政における総合的な取り組みが不可欠である。

また、ビジネス面では後塵(こうじん)を拝したが、例えば、他国に先駆け急速に高齢化が進む日本の経験は世界にとっても大きな示唆となる。超高齢社会に適した持続可能な「デジタル社会」モデルの構築は、日本が世界をリードすべきテーマの一つとなるであろう。

反省を糧に、新たな領域で課題解決先進国としての復活を期したい。

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